★企画展 最後の土曜日 2019.11.23

今回の展示会のコンセプトは、緒形さんを通じてどれだけ時代が語れるか?その一つのテストケースでした。俳優緒形拳は、1958(昭和33)年に劇団新国劇に入団以来、2008(平成20)年に71歳で亡くなるまで、舞台・映画・テレビと、それぞれの分野でまんべんなく活躍をつづけた稀有な役者さんでした。またその一方で、書や陶芸をたしなむなど、多種多芸の人でもありました。そして、その歩んだ軌跡は、敗戦後の日本に軌跡と重なります。それは高度経済成長からオイルショック、バブル経済、バブル後の”失われた社会”と、めまぐるしく移り変わる時代でした。それはまた、テレビの登場によって、演劇の舞台や映画が大きな影響を受け、さらにインターネットの時代が幕を開けたことで、そうした既存のメディアが急激に変容していく過程とも重なっていました。果たして、時代は緒形拳という役者に何を求め、緒形はそれぞれの時代にどのような影響を与えたのでしょうか。それこそが私らが取り組むべき課題ですし、芸能という分野で、戦後史を体現した緒形拳という役者でなければできないことです。何よりたくさんの資料を残されていること。それに尽きるのです。今回の展示会は、その一端を示したに過ぎません。

こちらは先日アップした展示場の全体を反対から写したものです。日曜日は大学自体が閉じていますが、後、5日間あります。御用とお急ぎでない方はどうぞ寄って見ていってくださいませ 。

馬場弘臣

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