■遠い一つの道 2020.8.01

緒形拳さんが、新国劇若手の有望株として注目されるようになった舞台に、昭和35年(1960)上演の「遠い一つの道」(菊島隆三・作、内川清一郎・演出)という作品があります。

大学生・白木保(緒形拳)のボクサーとしての成長や葛藤を描いた作品で、白木のトレーナー・桑田役として、同劇団の看板俳優・島田正吾も出演しています。

元々は新国劇の将来を担う若手スターを発掘しようと考えていた島田が、入団してたった3年目の緒形を白木役に抜擢。若手俳優を主人公に抜擢することは、当時の新国劇では異例のことで、当時の新聞にも「異例の新人抜擢」と報じられたほどでした。

緒形さんは見事この白木保役を好演。新聞の劇評も「まるで本物のボクサーのようで適役」と好評価でした。同年には舞台と同じく島田・緒形W主演で東宝によって映画化、翌36年(1961)にはフジテレビでテレビドラマ化もされました。

この好演が、緒形さんの新国劇時代の代表作でもある「丹那隧道」の熱演へとつながります。

らくはく修士

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