★緒形拳さんとNHK大河ドラマ アンケート番外編 2020.5.3

10月に開催予定の「俳優緒形拳とその時代-戦後大衆文化の軌跡」に向けて、緒形さんが出演されたNHK大河ドラマついてアンケートをとりました。その結果は、先日公表しましたが、このアンケートでは、好きな大河ドラマと好きな役名とそのそれを演じた俳優さんについて尋ねました。私の説明不足で、好きな大河ドラマは、緒形さん出演の有無にかかわらないのですが、好きな役名については、緒形さんを除いて回答していただきたいと思っておりました。途中でよくわからないというご意見を窺いまして、あ、まずいと思って、その旨を書き加えました。誤解を招いたことをお詫びいたします。また、集計をやっている過程で、役名-俳優名も緒形さんにかかわらず聞いた方がよかったなと思っています。というより、そもそもこの2つを混在させたのは間違いだったかなと反省しております。

でも、150件の回答をいただきましたので、それなりの統計は取れたかなと思います。まずは緒形さんが出演されたかどうかにかかわらず、好きな大河ドラマを自由に書いてもらう設問の結果です。そんなこんなでしたので、有効回答数は138件となっています。

好きな大河ドラマ

ご覧のように、1991年放映の「太平記」(鎌倉末~南北朝時代)が一番多く、18票を獲得していました。これは先にも書きましたように、現在、日曜日の早朝に再放送していることと、最近の中世史ブームによるものかと思われます。次点がなんと1978年の「黄金の日日」で13票でした。3位に記憶にも新しい、2016年の「真田丸」、4位に1987年の「独眼竜政宗」が、それぞれ12票、11票と1票差ずつで続きます。ここまでが10票以上を獲得した作品でした。いずれも戦国期ものですね。

以下、5位に1977年の「花神」、1980年の「獅子の時代」が8票で続きます。こちらは幕末ものですね。

7位は1979年の「草燃える」(鎌倉時代)、2019年の「いだてん」(近現代)、2007年の「風林火山」(戦国時代)が6票、10位は2004年の「新選組!」(幕末)、1988年の「武田信玄」(戦国時代)、2012年の「平清盛」(平安末)が5票で続きます。

こうしてみますと、必ずしも視聴率とここでの好きなドラマとが一致しているとは限らないようです。もちろん、「独眼竜政宗」や「真田丸」など、視聴率も高く、話題になった作品もありますが、「平清盛」や「いだてん」はいずれも視聴率の最下位を争っていた作品です。どちらも私自身は物語としてはよくできていると思っていました。自分で言うのも何ですが、回答してくださった皆さんは、結構、コアなファンもしくは内容で判断されている方が多いのではないかと思われます。また、「花神」や「獅子の時代」のような、本来はあまり人気がないと言われる幕末ものが入っているのも印象的です。全体的にはやはり戦国ものが強いという傾向は変わらないようです。

ついでに各年代で得票があった作品を見ていきますと、1960年代が2作品、1970年代が8作品、1980年代が6作品、1990年代が9作品、2000年代が5作品、2010年代が5作品となっています。これは回答してくださった方が40歳代から50歳代の20年間が圧倒的に多いということとも関係があるのでしょう。まさにテレビの黄金時代に大河ドラマを見ていた世代であるということです。2000年代はインターネットの普及で次第にテレビからネットの世界へとシフトしていきます。また、テレビの多チャンネル化も進みますから、1家に1台で世帯でテレビを楽しみに観る黄金世代が好んだ作品とみてよいのではないでしょうか。それに該当するのが「花神」-「黄金の日日」-「草燃える」-「獅子の時代」-「独眼竜政宗」-「武田信玄」-「太平記」という系列になります。

ここで大まかな結論だけを書いておきますと、ダントツの1位は、「独眼竜政宗」で主役の伊達政宗を演じた渡辺謙さんで8票でした。次点が、1983年の「徳川家康」で織田信長を演じた役所広司さんで5票、4票に「黄金の日日」の主役呂宋助左衛門を演じた市川染五郎(現・白鷗)さんに織田信長役の高橋幸治さん、「獅子の時代」で平沼銑次を演じた菅原文太さん、「太平記」で佐々木道誉を演じた陣内孝則さん、「真田丸」で真田昌幸を演じた草刈正雄さんが入っています。

3票まであげておきましょうか。1990年の「翔ぶがごとく」で大久保利通を演じた鹿賀丈史さん、「平清盛」で平清盛役を演じた松山ケンイチさん、2017年の「おんな城主 直虎」で小野政次役を演じた高橋一生さんですね。ここでも清盛の検討が目立っています。

次にもっとも好きな役名の数が多い大河ドラマを紹介しておきます。1位は「真田丸」で真田昌幸役の草刈正雄さん(4票)をはじめ、1票ずつですが真田信之-大泉洋さん、真田信尹-栗原英雄さん、豊臣秀吉-小日向文世三、豊臣秀次-新納慎也さん、直江兼続-村上新悟さん、毛利勝永-岡本健一さん、きり-長澤まさみさんと8人が入っています。ただ、不思議なことに主役の真田信繁(幸村)役の堺雅人さんの名前がありません。

次は「太平記」で主役の足利尊氏役の真田広之さん(2票)をはじめ、足利直義役の高嶋政伸さん(1票)、新田義貞役の根津甚八さん(2票)、高師直役の柄本明さん(2票)、後醍醐天皇役の片岡孝夫さん(1票)、佐々木道誉役の甚内田の離散(4票)、赤橋守時役の勝野洋さんの実に7名が入っています。緒形さんの出演作でも足利貞氏役は1番人気が高かったですから、やはり「太平記」の人気の高さが伺えます。それにしてもこうやって名前をあげただけでも凄いメンツ(あえて…)ですよね。

その他、「平清盛」も6名の名前があがっていますし、5名の名前があがっているのが「黄金の日日」となります。名前がたくさんあがるということは、それだけ印象に残った俳優さんが多いということで、それもまた作品の評価に繋がると思います。その意味では「太平記」の強さと「平清盛」の意外性が際立っています。

最後に役名だけでみていきますと、これはダントツで「織田信長」役が多いです。「黄金の日日」の高橋幸治さん(4票)、「徳川家康」の役所広司さん(5票)、1992年の「信長」で主役を演じた緒形直人さん(2票)といった名前があがっています。

ついでに…。1960年代の役名と俳優さんの名前は一つも出てきません。この時代には長谷川一夫さんや北大路欣也さん、石坂浩二さんなどの名前があるのですが、60年代 どうも遠くなったようです…。

さて、皆さんはこれらの表をどのように読み取りますか?ただ、できればアンケートでもっと多くの方のご意見を聞きたいところです。

馬場弘臣

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